テイトメー サカサマサカサ3章/只野空気

あらすじ

 テーマパークを訪れた一同。思いのまま遊び、観覧車に美穂たちと乗ったところ、停電で停止してしまう。祐斗はまた「あーちゃん」のことを思い出す。
 途中で眠ってしまった美穂は、いつのまにか自室で眠っていた。目が覚めると恋がそばにいて、祐斗のことが好きだと打ち明けられる。
 そして美穂は学校を休み、祐斗は先生から手紙を美穂の家へ届けるよう頼まれる。そこで祐斗は、美穂の弟・大河が登校拒否していることを知る。祐斗がお粥とウサギの林檎をつくると、美穂はおいしそうに食べるのだった。
 その帰路で男に絡まれていた西条赤を助け、祐斗は返り討ちに遭う。
 そして修学旅行が近くなった頃、祐斗はふと美穂にウサギの林檎のことを訊ねる。それは「あーちゃん」の好きなものだった……




テイトメー

 本章の目玉は、テーマパークと美穂の弟・大河のことである。
 テーマパークの話では皆で遊ぶだけではなく、恋が祐斗を好きだということが露見する。美穂は祐斗を「好きじゃない」と云おうとするが、なぜか言葉にできなかった。美穂の心情の変化が見てとれる。
 そして大河の不登校は、姉の美穂にとっては自責の理由になっている。ここでも「あーちゃん」の影が見え隠れする。随所に「あーちゃん」へと続く伏線が配置されている。
 このなかでも物語の中核といえるのは、美穂の心情の変化だろう。当初は嫌っていた祐斗のことを、それほど嫌がってはいない。少しずつではあるが、兆しが見えてきているようだ。

オンヌ

 ハーレムです。そうなのです、ハーレムです。ハーレムであることが問題なのではなく、理由なきハーレムが問題なのです。なぜ祐斗はこんなにも愛されるのでしょう? 絶チルであるならば、「エスパーを認め、ノーマルと隔てずに接してくれた人」として理由があります。僕は「ハルヒ」に於いても、ハーレムに至る決定的な理由を見出せずにいます。キョンキョンであるから好かれているのではなく、”主人公”であるから好かれるのと同様に、本作でも”主人公”であるから愛されるという構図であるように思います。さて、章の始めに遊園地へ行く話があるが、そこで恋・可憐・花梨が登場する。この3人は名前の音が似ていて、レン(REN)・カレン(KAREN)・カリン(KARIN)とラ行+ンという音で構築されています。本来こういう名前のつけ方は、区別を煩雑にするためあまりよくない。だが、漢字のおかげか、とくにこの場合はそうでもないようです。本章もあらすじに概略するのが難しいものでした。たとえば18話は、美穂の家に行くというイベントの残滓(ウサギの林檎の話題を持ち出したいだけ)と、修学旅行があるという伏線を張るという2点のみに集約されるようで、これほどのスペースを割くというものではないように思います。ところどころに伏線があるようなので冗長とまでは云いませんが、削れるが削らない部分が多いと感じました。これは以前から少し感じていたことですが、プロに近いほど「文節に意味がある」ように思います。ここでいう文節とは、「改行とインデントを施す」ことが次の節に移るということで、インデントごとに節があると見なしていただければわかりやすいかと思います。