テイトメー サカサマサカサ2章/只野空気

あらすじ

 テストが始まり、成績不振な祐斗とその友人の藤村と恋は、美穂に勉強を教えてもらうことになる。
 その日の帰路、美穂は自分の能力の確認をして祐斗にケガを負わせる。2人は警官と出会うが、警官は最近よく発生していたネームレス(能力者)殺しの犯人だった。一般人を殺してネームレスと勘違いさせていた警官を前に、美穂は気絶する。美穂を抱えて祐斗は逃走する。
 後日、ケガをした祐斗に驚いて、前に下駄箱でぶつかった少女・西条赤が現れる。
 そしてテストの結果が返ってくるが、祐斗は赤点をとってしまう。美穂は自ら教師役を買って出る。その結果、祐斗は再テストで満点をとる。美穂が「赤点をとらないでほしい」と願ったにもかかわらず……




テイトメー

 この章の末では、美穂の能力への変化もしくは矛盾が発生する。美穂は「赤点をとらないでほしい」と願ったのだが、祐斗は再テストで満点をとったのである。次章へと繋がる謎としては申し分ない。
 そして警官……もとい殺人鬼との対峙である。「ネームレス排除をしている警官がいる」とされていたが、殺していたのは一般人であり、その一般人をネームレスを偽って報告していたのである。その直前、美穂は祐斗に「電柱に頭をぶつけろ」と考えたにもかかわらず、そうならなかったことに疑問を感じて、「こけるな」と願う。そしてこけた祐斗は胸にケガを負ってしまう。さらに美穂は警官との対峙で気絶してしまい、祐斗に助けられる顛末となる。祐斗の再テストで教師役を買って出た美穂の心中にあったのは、感謝だろうか? それとも引け目だろうか? どうやら美穂の心中も、少しは変化があったようである。


オンヌ

 まず対峙の直前の、祐斗がケガを負うシーンである。美穂が自分の能力がうまく働いていないように感じたため、確認のために祐斗で試して倒れさせてケガを負わせるのだが、なぜこけて「胸」にケガを負うのか、説明が一切ない。普通は手や肘、膝、顎などじゃないだろうか? なぜ胸にケガを負い、「血がにじむ」のだろう? 服に血がにじんだとするなら、なにか突起物が胸にあたったりしないと流血はしないだろう。しかしその説明はない。不完全燃焼である。

 そして西条赤の登場に関して。髪が赤く、祐斗とは下駄箱での因縁がある、とのこと。記憶を辿って7話を読み返してみると、女生徒とぶつかるシーンがある。そして以下の文へと続く。

[俺の名をつぶやいた目の前の女子は、それだけを口にして、顔を真っ赤にしながら、顔と同じ色の髪をなびかせて走り去っていってしまった。]

さすがにそりゃ煩雑でしょう……? まず↑の文で、「女生徒=赤い髪」と定義せずに「女生徒≒赤い髪」としている。それで今回の西条赤の登場で「赤髪」としても、わかりにくい。なぜ7話の時点で「女生徒の髪は赤かった」みたいに明言しなかったのかがわからない。明言することでデメリットがあるのならわかるが、デメリットがあるようには思えない。



<ちょっと一言>
すべてを見たい人と、いいところだけ見たい人とがいると勝手ながら判断して、傍目にはいいところだけ見えるようにした。すべてを見たい人だけが少しの労力を駆使すればいいと思う。なにも見たくない人はそもそも、ここに見に来ないだろうしね。